14歳の世渡り術
ホラー

文化人類学者たちによる怪異体験『14歳の世渡り術 世界ぐるぐる怪異紀行 どうして “わからないもの”はこわいの?』

奥野 克巳 監修・著 川口 幸大 著 イリナ・グリゴレ 著 近藤 宏 著 平野 智佳子 著 福井 栄二郎 著 藤原 潤子 著 古川 不可知 著 村津 蘭 著

 先日読んだ『14歳の世渡り術』シリーズが面白くてまた買ってしまった。中学生向けだが、大人でも十分に楽しめる。あと、紙質がいい。黄色味がかったしっかりとした紙が使われており、ページがめくりやすい。鉛筆で何かを書きたくなるような紙だ。そういう紙の本だと読書がはかどる。

 本書には、文化人類学者がさまざまな国を訪れたさいに体験した怪異が記されている。文化人類学者と聞くと、ちょっと難しそうなイメージだけれど、一般人にもわかりやすいように書かれていた。知人から未知の国へ行ったときの体験談を聞いているかのような語り口で、すらすらと読むことができた。

 とある民族の住む村では、病気や不幸などが起こると、それは精霊の仕業だったり、呪いのせいだったりする。科学の専門家に見せたら、科学的な原因を突きとめられるんじゃないのというようなできごとでも、彼らは本気で古くからの言い伝えを信じているのだ。

 未開の地だからこそ、迷信ばかり信じているのだろうと思ったが、ふと自分の身の回りを思い浮かべると、迷信を信じているような行事ばかり。神社へのお参りだったり、二月の豆まきやお盆の灯籠流しだったり。科学的な根拠はなくても、皆行事として行なっている。

 「怪異」は身の回りのいたるところに散らばっているのかもしれない。