和製『ダ・ヴィンチ・コード』というぐらい面白かった!本岡類『聖乳歯の迷宮』
私は『ダ・ヴィンチ・コード』や『ナショナル・トレジャー』といった、歴史ミステリーアドベンチャー(そういうジャンルなのだろうか?)が大好物だ。歴史オタクが、インディ・ジョーンズみたいに謎や宝を追い求め、大きな歴史の謎を解明してしまうという物語。今作は「キリストの乳歯が発見された」という話だ。
書店で見かけて、あらすじ自体が面白そうだし、最初の一ページも読みやすかった。作者紹介欄を見てみたら、早稲田大学卒業の作家だった。もうこれは買うしかない。私が読みやすく、面白いと思う作家は、だいたい早稲田卒だったりする。
キリストの乳歯が発見され、神が実在したとDNA鑑定の結果、科学的にも証明された。世界中で宗教ブームがわき起こり、それに乗じて怪しげなカルト教団も人気となる始末。
一方、東京の離小島である青ヶ島では、奇妙な事件が起こっていた。この事件とキリストの乳歯がどう結びつくのか。物語の中ではキリストの乳歯が科学的に証明されてしまったが、おそらく、最後の最後でこの証明はくつがえされるだろう。読んでいて、それぐらいの予測は立てられた。でも、どうやってくつがえされるのか。そこが全然わからなかった。
登場人物たちは、考古学の発掘調査をしていたり、文献を調べて歴史方面や科学方面からアプローチを試みたり。謎解きの過程がわくわくした。一緒になって登場人物たちと調査している気分になれた。これが読書の醍醐味だ。私は怪我をしたり、犯人から命を狙われたりすることなく、冒険ができるのだ。
最後に伏線が繋がり、「こいつが犯人だったのか!」と仰天した。ミステリーとしても、歴史アドベンチャーとしても楽しめる一冊だった。映画化しないのかな。