怖すぎて夢に出てきた(涙)『近畿地方のある場所について』背筋
書店に平積みされていて、帯の文句から絶対に面白いと感じたんだけど、ホラーか、怖いしなぁと手を出せずにいた。書店に行くのが趣味、というか日課な私は、その平積みされた書棚を何度も通過する訳だ。
「これは神様が私に読めと言っているのかもしれない」と、何度目かの通過で悟り、とうとう購入してしまった。表紙からして怖いので、自宅に帰るとあまり目につかない所に置いた。
普段、殺人事件が起こるミステリーばかり読んでいて、現実の世界でも怖いニュースばかり流れるため、「幽霊より人間の方が怖い」と言い張っている私だが、幽霊も怖い。昔からホラー映画が苦手で、真夏の心霊写真特集なんて、ブランケットで目を隠しながら見ているちびまる子ちゃん状態なのだ(ちびまる子ちゃん状態というのは、まるちゃんが夏にお家でホラー特集を見る際、怖さのあまり毛布をかぶっているというシーンがあったので、私が勝手にそう呼んでいる)。
購入してから数日間、ちらちらと赤い表紙が目に入る。気になって仕方がない。意を決してページをめくると、なんだかよくわからないが恐ろしいステッカーみたいなのが挟まっているではないか。あんまりじっくりと見つめると呪われそうなので、本の最後の方に挟み直すと、袋とじがあることに気づく。小説に袋とじなんて付いていることある? 奇妙なことの連続で、それだけでもう怖い。
本の内容はというと、雑誌の記事とかインタビュー、SNSの書き込みなどがまとめられていて、ひとつのまとまった物語というより、読者は資料を読まされているという感覚になる。全く時系列も内容もバラバラに見えるが、読み進めていくうちにその資料の共通点が見えてくる。
そうしてたどり着いた近畿地方のある場所。私、因習村とか、古くから伝わる祠とか、そういうのが大好物なのだが、この本のはめちゃくちゃ怖くてもう二度と読みたくない。というのも、作中に登場するジャンプする女が夢に出てきたのだ。古いアパートの薄暗い部屋の一室で、長髪の女が髪を振り乱しながら飛んでいる。そんな夢だった。ただでさえ、不眠症で困っているのに、幽霊にまで怯えていたら余計に眠れなくなるではないか。まさにちびまる子ちゃん状態だ(ここでいうちびまる子ちゃん状態というのは、まるちゃんが怖い話を聞きすぎて夜眠れなくなり、ひたすら面白くてくだらないことを想像して、なんとか眠れない夜をやり過ごしたというシーンと同じ状態である。他山の石〜)。
怖すぎて巻末の袋とじは開けることができなかった。夫から「面白かったら読ませて」と言われていたが、自宅の本棚に置いておくことすら怖かったので、すぐにブックオフに売ってしまった。
怖いのが大好きという方、読んでみてはいかが?