子供が冒険する話、大好き! ミステリーとオカルトが絡んでいるのはもっと好き。『でぃすぺる』今村昌弘
夏休みの田舎町で、子供が謎解きに挑む。そういうシチュエーションが大好きだ。
この小説は「王様のブランチ」でミステリー小説家が紹介していて、面白そうだから読んでみようと思った。湊かなえさんとあと二名のミステリー作家が登場していた気がする。テレビを見ながら、豪華な回だなと思ったのを覚えている。
ちなみに、「王様のブランチ」の本、漫画を紹介するコーナーと、リリコの映画紹介コーナーが大好物です。リリコの映画紹介コーナーでも、とりわけミニシアター系が好きで、映画選びの参考にしている。『幸せなひとりぼっち』は特に良かった。人生捨てたもんじゃないなと、心が温かくなった。殺人小説ばかり読んでいる私でも、時にはハートフルなヒューマンドラマを観る時がある。
本コーナーでも、話題の作者にインタビューをしたり、わざわざ本の内容を再現ドラマにしたり。作りが凝っている! 川上未映子さんのインタビューをしているのも良かったし、『黄色い家』がブランチブック大賞に選ばれているのも熱かった。ブランチの本気度を感じた。
だって、『黄色い家』って読んで楽しくなるような小説じゃなくって、どちらかというと日本社会の暗い底辺で生きる少女たちのお話で。そんな小説を、「こちらがインスタ映えキラキラのおしゃれカフェでーす」なんてやっているお昼の情報番組で紹介しているなんて信頼できる。信頼しかない。
脱線してしまった。本題に戻る。
そんな「王様のブランチ」が紹介するんだから、ハズレなしでしょう。そう期待しながらすぐさま書店へ駆け込み、ハードカバーで買ってしまった。小説をハードカバーで買う時と、文庫化まで待つ時と、図書館で借りる時と、電子書籍をクーポンで買う時と色々あるけど、この時は読みたすぎてハードカバーで買った。
本の内容はこうだ。小学六年生の少年少女三人が、学校新聞を作る掲示係になる。テーマは「この町の七不思議」(舞台が街じゃなく、町なのがポイント高い!)。七不思議は幽霊の仕業だと主張するオカルト派と、幽霊なんていないと理論で主張する派が誌面上でバトルを繰り広げる。七不思議の謎を解き明かそうと現場へ出向いて、実際に調査をするなんて楽しそう。しかし、物語は小学生のオカルト探検だけにとどまらず、町で起こった殺人事件と絡んでくる。
オカルトの話が、現実の殺人事件とどう絡んでくるのか。事件の犯人は人間なのか、怪異なのか。真相を探っていく小学生たちに、自分の子供の頃の姿を重ねてしまい、わくわくする。私自身、小学生の頃、掲示係をしていたというのもあり、一層共感できた。
読み終わって、「なんとまぁ、そんな展開もありなんだ!?」と驚いた。全然予想できなかった。まんまと作者の手のひらの上で転がされてしまったわけですよ、まったく。
この作者、今村昌弘さんは『屍人荘の殺人』の方。私はこの頃まだ『屍人荘の殺人』をキャラクター小説と勘違いして読んでいなかったため、これなら読んでみようと手に取ったら、ハマってしまった。
田舎町、祭り、小学生、ミステリー、オカルト、ホラー。どれか一つでも好きなキーワードがあれば、読んでみることをおすすめする。
余談だが、この文章を書いている最中(夜十時半)、外から幼稚園ぐらいの子供のはしゃぎ声が聞こえてきた。なんか、子供同士がおいかけっこして、はしゃいでいる感じの笑い声。こんな時間まで普段起きていないから、お外へのお出かけではしゃいじゃったのかな。でも、家の近くに公園はないし、気のせいかな……。