シスターフッド&ミステリー!『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』高殿円
イラストレーター・雪広うたこ先生のスタイリッシュでかわいらしい表紙が目に入り、ジャケ買いしてしまった。雪広うたこ先生は、『宝石商リチャード氏の謎鑑定』(辻村七子)でお世話になっており、美麗なイラストが大好きだ。
購入当初、私は高殿円先生の作品を読むのが初めてだった。『トッカン』で有名なのはなんとなく知っていたが、「人が死ななそうだしなぁ」と手を伸ばせずにいた。本書はシャーロック・ホームズが女性だったら……? という作品。人、死ぬでしょ! と意気揚々と読み進めた。
クールでクレバーな電脳(AIであるミセス・ハドソン)を駆使する名探偵シャーリー・ホームズと、だめんず好きでお人好しな女医ジョー・ワトソンの二人がコンビを組み、現代のロンドンで殺人事件に挑む。
この僕っ子のシャーリーがすっごくかわいくてかっこよくて、クールなんだけど、守ってあげたくなっちゃう存在なの。お人好しのジョーの気持ちがわかる。この二人以外も、主要人物が男女逆転していて、この人が女だったら? というキャラ設定が楽しめる。
事件の推理も女性ならではの視点で進んでいく。そういうトリックだったのかと、感心してしまった。
シャーロック・ホームズといったら、ロンドンの街並み。ジョーと一緒にロンドンの街を歩き回っている気分になれる。高殿先生は、本作のためにロンドンまで取材に行ったそう。だから、こんなにリアルな街並みを描けるのか。
巻末の雪広うたこ先生の扉絵集も楽しめる一冊だ。2024年4月現在、三巻まで刊行されている。