日本版『プリンセス・ダイアリー』!? 『赤と青のガウン オックスフォード留学記』彬子女王
こんな下品な(?)サイトで本書を紹介していいのかと畏れ多いのだが、面白かったので紹介したい。
*今回は惨殺シーンが出てくるわけではないので、「番外編」という位置にしておく。
皇室育ちの彬子女王殿下が、オックスフォードに留学した時のエッセイだ。「なんでこんな野蛮なブログを書いているこりすが、そんな知性溢れていそうな本を知っているんだ」と、疑問に思う人もいるだろう。X(旧Twitter)で、面白いと呟かれている投稿を目にしたからである。
Xでの投稿がきっかけで、本書を求める人が増えたらしいが、既に単行本は手に入らない状態らしい。近々、文庫化はするとか。しかし、本書は紙質などに気を配りながら作られたそうなので、なんとしても単行本で読みたい。そう思い、私は図書館で探し求めた。
さすが、図書館。単行本が見つかった。表紙を開くと、留学時代の写真がカラーで掲載されていた。なんとも楽しそうである。文章の書かれているページもめくりやすい、しっかりとした厚みのある紙で作られていた。
紙の話はこれくらいにして。
普通の女子大学生のオックスフォード留学記も面白いだろうけど、日本のプリンセスが主人公のため、一味違う。まず、登場人物にビッグネームが多すぎる。イギリスの女王陛下とお茶会する学生っている? その時の悩みが「どんな服を着ていったらいいのか」。確かに、日本の皇室の方が外国の王族と会う時、どんな服を着て行くかって重要なポイントだろうけれども。一般人だったら、他にも悩むべきポイントはたくさん出てくる。
彬子女王殿下は日本で外出する際は、必ず護衛がついている。女性用の服を買いに行く時でも、映画館に行く時でも、ずっとマッチョなボディーガードがついているのだ。しかし、英国に留学する際は、護衛なしで学生生活を送ることができた。しかも、今までずっと家族と一緒に住んでいて、食事などは使用人が用意してくれる生活を送っていたのに、英国では寮に入ることになる。プリンセスの自炊生活。初めて一人で外出できたのが、オックスフォードだったのだ。
本書を読んで、主人公の視点になって、私自身がオックスフォードで学ぶ学生になっているような気分になれた。とても楽しかった。映画『ハリー・ポッター』の撮影で使われた大広間で食事をとって、大学近くにある今にも崩れそうなおんぼろカフェで美味しいコーヒーを飲みながら勉強して。とても素敵な体験ができるエッセイ集だった。
私は高校生の頃、『プリンセス・ダイアリー』という海外小説にハマっていた。主人公の女の子がある日突然「あなたはプリンセスです」と言われ、生活が一変するのだ。プリンセスになっても学校に行って、恋をして、友達と遊んで。そんな日常生活を送るんだけれど、プリンセスになった女の子目線で描かれているので、そこが面白かった。本書もそんなふうに楽しめた。
あと、前から思っていたんだけど、「007」シリーズみたいに、皇族に仕える忍者が活躍する映画や小説はないのだろうか。あったらぜひ、観てみたい。