知りたかった世界各国の事情を優しい言葉で教えてくれる!田中孝幸『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』
※この小説では人は死にません。
地政学って聞くと、難しそうと感じる。私は漫画『紛争でしたら八田まで』を何冊か読んだことがあって、とっかかりの入口は開けていた。漫画を読むまでは、そもそも地政学がなんなのかさえ知らなかった。
地政学とは、国の政治や軍事、外交の政策などについて、地理的な条件から研究する学問だ。たとえば、アメリカがなんであんなに強くて発言権がある国なのかとか、この国とこの国の仲が悪いのはなぜなのかとか、そういうことが本書ではわかりやすく書かれている。
高校生の大樹と中学生の杏は、子供たちの間で「カイゾク」と呼ばれる店主がやっているアンティークショップで地球儀が欲しくなる。その地球儀は現代の地球儀ではなく、一昔前の地球儀で、まるで海賊が航海の時に使いそうなかっこいい雰囲気のものだった。
カイゾクは7日間毎日講義を聞いて、最終日の問題に答えられれば、地球儀をプレゼントすると提案する。こうして、カイゾクと学生の地政学講義が始まるのだ。
本書は小説の形式で進んでいき、読者も学生になって地政学の講義を受けているような気分で読み進めることができる。教科書は苦手、勉強は嫌いという人でも、物語を読んでいるように地政学を学ぶことができる。
夏休みの間の物語というのもあって、地球儀を使いながらの講義は、カイゾクと一緒に世界を旅しているような気分になった。
子供にも大人にもおすすめの一冊。